アロマセラピーによるフェイシャルマッサージ(長谷川桜子)

精油は皮膚を通じてどう働くか

アロマセラピーによるフェイシャルマッサージのビューティートリートメントは、皮膚の表面でだけでなく、もっとふかいところでも効果が発揮されるほんとうのトリートメントです。精油は間質液、血流およびリンパ系に入って体内を移動していきます。

毎晩寝る前のマッサージが効果的

毎晩、寝る前にトリートメントオイルを肌につけていますと、皮膚の状態に大きな変化をおこさせることができます。このブレンドオイルをつけて、ソフトに上方へとマッサージを施しておけば、オイルの効果は眠っている間にあらわれます。このかんたんな方法で、しみ一つない肌になり、それを維持することができるのです。

どんな肌質でも手順は同じ

どんなタイプの肌質であっても、同じ手順でトリートメントが行えます。すなわち、夜、十分に顔をクレンジングし、そのあとでアロマセラピーマッサージをすればよいのです。

ホホバ油で落ちにくいメークをとる

皮膚をクレンジングすることはとても大切で、私は自分のメークと昼間のよごれを落とすのにフローラルウォーターを使っています。一部のマスカラは、このやりかたではとれません。私は普段は、お湯で落とせるフィルムタイプのマスカラを使っていますが、撮影のおしごとでは、フィルムタイプのものでない、ウォータープルーフのマスカラでメイクをしてもらうこともたびたびあります。そんなときにはホホバ油をちょっと用いるとじつにうまくいくことに気がつきました。ホホバ油は眼のまわりのデリケートな組織に圧力をかけることなくマスカラをすべてきれいにとりさってくれます。ホホバ油はまた、まつげにも有益で、アイメーキャップの使用のしすぎで傷んだまつげをなおしさえもします。脱脂綿のボールにフローラルウォーターをしみこませたもので、残ったホホバ油とメークの粒子をとりさえすれば、あなたの顔はフェイシャルマッサージの準備ができたことになります。

脂性肌・にきび肌には

クレンジング効果と抗菌作用のある精油を使う

脂性肌・にきび肌をなおすものとして、アロマセラピーほど完璧なものはありません。それは、精油は皮膚にたいして親和性があって、皮膚のバリヤーを突破して間質液を介して体のなかへと浸透していくからです。クレンジング効果をもち、抗菌作用がある精油はたくさんあります。ラベンダー油、ベルガモット油、ネロリ油、サンダルウッド油、ティートリー油、イランイラン油、レモン油などがその例です。こうした精油は、にきびとティーンエージャーの吹きでものができた肌をなおすうえで役立ってくれます。思春期におこるホルモンの変化のためにいろいろな物質がつくりだされますが、これらが腎臓と肝臓を通じて除去されないと肉体にたまっていき、顔やネックや、場合によっては体のそのほかの部分にも、にきび・吹きでものが生じてしまいます。この症状には、まるで習慣のように抗生物質が処方されますが、これは火に油を注ぐものだと私には思えます。体に毒素を適切に除去する力がないのならば、薬剤を与えて体の負担をさらに増すのはおろかなことだと思うのです。この薬剤は肝臓を通らなくてはならないのですが、そのためにいっそうひどい中毒症状をおこしてしまいます。

オイルマッサージと芳香浴

もっと賢明な方法は、体全体から毒素をぬき、健全な食事をし、精油を使用したオイルマッサージをし、芳香浴をすることです。皮膚に収れん作用のあるものをつけたい、にきび・吹きでものを指でつぶしてしまいたいという気持ちはよくわかりますが、これはやめましょう。こんなことをしても症状はよくなりませんし、それどころか皮脂腺を刺激してそこをいっそう活発に働かせて、細菌の増殖を促すばかりだからです。

にきび治療には

にきび治療用のブレンドオイルを夜使いますと、これが肌のふかい部分で効果を発揮して、患部で自然の殺菌消毒剤として働くとともに、皮脂の分泌を正常にします。

大切なのは、十分にクレンジングすること

十分に肌をクレンジングすることが大切です。フローラルウォーターを用いれば、皮膚から大半のメーク料と表面の汚れがとれ、さらにもう一度、少しざらつく脱脂綿にフローラルウォーターをつけて肌に適用すれば、これが剥離剤と似た働きをします。つまり、死んだ皮膚細胞がこれでとりのぞかれ、肌はフレッシュで輝くように見えてきます。こうして十分にクレンジングしたあと、にきび肌用のブレンドオイルをたっぷりとって、それを顔とネックにつけて、上方へと動作を進めながらマッサージをしてすりこみます。数分たったら、ティッシュペーパーを肌にそっとおしあてて、よぶんなオイルを吸いとらせます。中毒の度合がひどい皮膚はあまりオイルを吸収しませんが、しばらくの間、定期的にオイルを使用していけば、肌のオイルを吸収する力が高まってきて、皮膚が改善されてきたことがわかるようになります。ただし、一晩でしみも何もない肌になれるとまでは期待しないで下さい。でも、毎日、肌の手入れをしていけば、ほどなく皮膚の外観と手ざわりにちがいがでてきたことがわかってきます。

脂性肌・にきび肌用のフェイシャルマッサージオイル

(1)
サイプレス油 12滴
レモン油 13滴
これらの精油をいっしょに50ミリリットルのキャリアオイルに加えてできあがりです。

(2)
ベルガモット油 14滴
サイプレス油 5滴
ジュニパー油 6滴
これらの精油をいっしょに50ミリリットルのキャリアオイルに加えてできあがりです。

乾性肌には

乾性肌用のオイルを使い、毎晩フェイシャルマッサージする

暑い気候、病気、セントラルヒーティング、悪い食生活などはみんな肌に影響して、触れても見た目にも皮膚を乾いた固い感じにしてしまいます。乾性肌は天然の油脂分が欠けているので、脂性肌よりもしわができやすいものです。そこで、この肌には毎日、保護し栄養を与えるオイルをつける必要があります。乾性肌を改善する力があるために選んだ特別な精油類のブレンドオイルを使って、毎晩寝る前にソフトに顔とネックにマッサージしてすりこみます。

フローラルウォーターでクレンジングする

このフェイシャルマッサージを施すのにさき立って、肌を何かのフローラルウォーターでそっとクレンジングし、また朝は肌の上にフローラルウォーターの薄い膜をつくってモイスチャライザーにし、その上に少量のマッサージオイルをつけるとよいのです。乾性肌はこのブレンドオイルを吸収しますが、顔にティッシュペーパーをおしあてて、よぶんなオイルをすっかりそれに吸いとらせてからメーキャップをして下さい。

身のまわりの環境を改善する

皮膚の乾燥は、家やオフィスのセントラルヒーティング、サンベッドの利用のしすぎ、ビタミン類・ミネラル類のアンバランス、更年期のホルモンの変化、ストレス、喫煙、そのほか各種の汚染物質のせいでもおこります。自分の身のまわりの環境条件を改善すれば、肌の張りと手ざわりも改善され、その状態を維持するのに役立ちます。加湿器、イオン化装置を家とオフィスにおくことも考えたいものです。

乾性肌用のフェイシャルマッサージオイル

サンダルウッド油 10滴
ゼラニウム油 7滴
ローズウッド油 3滴
イランイラン油 5滴
これらの精油をいっしょに50ミリリットルのキャリアオイルに加えてできあがりです。

普通肌・乾性肌用フェイシャルマッサージオイル

(1)
ゼラニウム油 2滴
ラベンダー油 10滴
サンダルウッド油 8滴
イランイラン油 5滴
これらの精油をいっしょに50ミリリットルのキャリアオイルに加えてできあがりです。

(2)
ゼラニウム油 5滴
ジャスミン油 4滴
ラベンダー油 16滴
これらの精油をいっしょに50ミリリットルのキャリアオイルに加えてできあがりです。