アロマセラピーと免疫系(長谷川桜子)
免疫系とは
逆症療法としての処方薬
職業上でのストレスは、免疫系を弱体化させる原因で、このテクノロジー時代にあってはコンピューターのスクリーンが多くの病気をひきおこしていることは、よく知られています。又、多くの人びとは、逆症療法〔治療する病気のひきおこす状態とはまったく反対の状態を生じさせて、それによって病気をなおす療法〕の処方薬のせいで不健康になり、その免疫系を傷めつけられています。
現代社会は免疫系の機能低下を招くもので溢れている
薬剤は、もちろん免疫系の機能を低下させるものですが、そうした働きをするものには、抗生物質、ストレス、コンピューターなどのディスプレーユニット、過量の砂糖、コーヒーやアルコールのような刺激物、アレルゲンとなる食品、否定的な考えかたを絶えずすること、いくつかの職業上での危険、サンベッドの用いすぎ、栄養上の誤り、精神的に傷つくこと、ふとりすぎ、精神的な疲労困憊、大量の飽和油と不飽和油、断食が含まれます。
テレビを見つづけること
何時間もつづけてテレビを見ることさえも、免疫系の働きを低下させる結果をまねくように思います。それは、テレビの画面からでる放射線に加えて、その番組に見入っていると私たちの体からアドレナリンが生みだされますが、それに私たちは適切に応えてアドレナリンを消費できず(私たち自身は闘ったりしませんし、逃げだしたりもしませんから)、誰も助けることはまったくできないまま、ただじっとすわって画面を見るばかりだからです。番組がニュースであっても暴力的な探偵物語であっても同じことです。
ラベンダー油の鎮静作用
神経系と免疫系との間には、一つのきずながあります。そこで、湿疹のような皮膚症状があって、そこが絶えずかゆくてたまらず、そこをかいてばかりいるといった人は誰でも、いつも自分の神経系を攻撃しつづけているのですが、こうした人は鎮静作用のあるラベンダー油を浴湯に入れて沐浴するとよいのです。
ティートリー油 7滴
ラベンダー油 7滴
ベルガモット油 7滴
サンダルウッド油 4滴
これらの精油をいっしょに50ミリリットルのキャリアオイルに加えてできあがりです。
免疫系を強化してくれるもの
それは、マッサージ、栄養のある食物、愛情、ビタミンC、亜鉛、肯定的な考えかた、精神の開放、反射療法、それにいうまでもなく精油類です。以上あげたリストは、これだけですべてというものでは決してありませんが、これによって、免疫系を弱めたり強めたりするさまざまなものを全体としてつかめるのではないかと思います。
免疫系の各器官
免疫系というものは複雑をきわめており、非常に精緻なものです。これは、リンパ系ともいわれます。B細胞は骨髄(腕と脚の長い骨の内側)で生産されます。またT細胞は胸腺(胸骨の下にあります)のなかでつくられます。これらの生産中枢は、一次リンパ器官と呼びます。体内のそのほかの重要な部分(扁桃、腋窩のリンパ節、脾臓など)は二次リンパ器官といいます。T細胞はキラーT細胞、ヘルパーT細胞および抑制性T細胞にわかれます。これらの細胞は、おたがいに力をあわせて働く必要があります。骨髄で形成されるリンパ球は、体内に侵入してくるあらゆる抗原にたいする抗体をつくりだす力があります。
補足的医学としてのアロマセラピー
私たちはたぶん、この免疫系を完全に理解することはできないでしょう。でも、私は自分自身を守り、健やかでじょうぶにすごすために、この免疫系に協力できるということを知っています。「補足的医学」ということばがあります。これはアロマセラピーのようなソフトな療法を遠まわしにいいあらわすのにつくられた用語ですが、私は逆症療法的な薬剤は好きではありません。私はこの「補足的医学」ということばを、私たちの体内で毎日進行しているすばらしい医療体系を「補足する」ために行うソフトなかたちのいろいろな療法を意味するものとうけとることができると思います。
私たちはありとあらゆるウイルスと細菌にとりまかれている
免疫系がひどく弱くなってしまうと、小さな病気にさえも圧倒されてしまうほど体の抵抗力をなくしてしまいます。何か急な病気になっても、正しく助け支えてやれば、その体の防衛システムはさっと働きだして、体に侵入してきた微生物を効果的に処理してしまいます。
抗生物質は必要か
何か病気になるたびに抗生物質を処方する必要などないと私は考えます。もっと作用がマイルドな薬剤でも同じようにはやく効きめがあらわれる急性のいろいろな病気に抗生物質を習慣的に与えていますと、抗生物質は無差別に細胞を破壊するようになります。抗生物質は腸のなかの細菌の自然のバランスを乱してしまい、私たちがヘルシーな免疫系を備えていなければならない場合に、私たちにぜひ必要なその有益菌を殺してしまうことがよくあります。私たちはいつも、ありとあらゆるウイルスと細菌にとりまかれています。でも、私たちの免疫系が強力であるかぎり、病気という敵に屈服するのを避けることができ、私たちが何かの病気に感染したとしても、短い時間のうちに病気を追いはらう力をもつことができるのです。
抵抗力が弱まり病気にかかってしまったとき、体力をとり戻したいときに、自分の免疫系にその力を再度つけさせてくれる手助けをしてくれる精油類があります。例えば、ラベンダー油には洗浄消毒作用があり、ユーカリ油には解熱作用があります。ラベンダー油をごく薄く稀釈したラベンダー水や、ユーカリ油を用いた湿布を使ったり、病室の空気を浄化力のあるハーブ類の精油でいつも香らせておくようにすることも大きな効果を期待できます。
アロマセラピーのもう一つの役割
アロマセラピーは免疫系の健康のうえで、もう一つの役割を果たしています。それは免疫系を弱体化させる毎日のストレスと否定的な考えかたをとりさるということです。もし私たちが重いスーツケースを運んでいるとしたら、丘にのぼるのは容易ではないでしょう。でも、私たちがそのスーツケースを下におけば、丘の頂上にのぼるのはずっとらくになります。自分の重荷をとりさってしまえば、自分の免疫系に自分を守ってもらいやすくなるのです。これは、例えてみれば折れた骨の両端をつなぎあわせるようなものです。そうすれば、体の更新システムの力で必要な細胞がつくりだされて、折れた骨は癒着します。自然はこの治療を体内から行いますが、私たち(この場合はお医者さん)は、折れた骨をきちんと正しい位置にならべて、この治療のプロセスをてつだいます。折れた骨を自分の力でなおしたなどというお医者さんは一人としていません。お医者さんは折れた骨を正しい位置においただけです。同じように、ありとあらゆる病において、私たちがその「治癒法」を発明するなどということはあり得ないのです。
免疫系と食べ物
私たちの免疫系を健やかに保つのには、健康にたいする常識が大きな役割を果たします。私たちにはいつも良い(あるいは悪い)食べものを食べる機会が与えられています。自分の健康の水準が低下したときにはいつでもビタミンCを摂取することを考え、またハンバーガー、ポテトチップス、コーラ類、精白小麦粉でつくった食物などを避けることです。着色料、保存料がいっぱい入っている食品、フライ料理を食べても、健康な人間だったらそんなに体が害をうけることもないでしょうが、こうしたものが病人が健康を回復するのに役に立たないことはまちがいありません。
オリーブ油はべつとして、フライ料理をするために熱した油はその脂肪酸の分子構造が変わり、「酸化」するようになります。こういう分子は「フリーラジカル」という名前で呼ばれていますが、これは体細胞の表面にダメージをおよぼし、それによって免疫系の弱体化をひきおこします。そのほかに避けるのがよいことがはっきりしているものは、たばこ、あらゆる種類の薬剤、避妊用のピル、アルコール飲料、それにコーヒーなど刺激のつよい飲みものなどの多量摂取です。
咽喉の不調には、ティートリー油かベルガモット油でうがいを
私たちは、自分の免疫系を弱体化させないだけでなく、それを強化することもできます。咽喉に感染症が生じた最初の徴候をみたら(咽喉は防衛の第一線です)、ティートリー油かベルガモット油を純粋な水に入れてうがいをして下さい。
うがいは、病原体の微生物と接触したあとで行うとよい病気の予防法です(例えば、人ごみのなかに行ったり、空の旅をしたり、地下鉄に乗ったり、病院の待合室に腰をおろしたりしたあとなどです)。朝、おきたとき、咽喉が痛むことがよくあります。これは、人間が眠っている間に体の防衛システムと、昼間咽喉に侵入していたさまざまな細菌・ウイルスとの間で闘いが行われていたからです。
夜、寝床に入る前にティートリー油またはそのほかのすすめられた精油でうがいをすると、それによって、体のリンパ腺といっしょにたくさんの微生物をやっつけることができます。
かぜのかかりはじめには、リンパ腺に精油をすりこむ
かぜでも、流感でも、そのほかもっともたちの悪い何かの病気になったときでも、そのかかりはじめにネックのところのリンパ腺に稀釈した精油をすりこみますと、免疫系が病気と闘うのを助け、病気にかかっている期間を短くできます。
からだの不調を感じたら、すぐに対処すること
みなさまも、何か健康障害が生じたら、それがひどくなるまで待って、「治療」してもらうためにお医者さんのところへ行ったりするよりも、すぐにそれにとり組むのがよいと思います。健康状態が低調であるのにあまんじたり、何か慢性的な症状がでていて、それを何年もじっとがまんしたりするのは容易なことです。「私はくり返して何度もかぜをひく」とか、「むすこはいつも鼻水をたらしています」とかということも容易です。しかし私たちはどうして、何かが悪化しているというさまざまなしるしがあるのに、それを見て見ぬふりをするのでしょう。何かある食品がアレルギー反応をひきおこしているのかも知れませんし、あるいは体が侵入した微生物を駆逐するだけのスタミナをなくしているのかも知れないのです。
皮膚は心身の健康状態をうつしだす鏡
私たちはまた、自分の体の健康に皮膚が大きな役割を果たしていることを忘れてはいけません。私たちの皮膚は、体でいちばん大きな生きている器官です。皮膚は心身の健康状態をうつしだす鏡でもあります。
アロマセラピーで、精油の成分を皮膚から体内に取り入れる
アロマセラピーでは、精油の成分を皮膚からも体内にとり入れることができます。精油は脂溶性でとても小さな分子構造をしているため、皮膚や毛穴、汗腺から浸透し、毛細血管やリンパ管に入って全身に行き渡ります。同時に精油の香りを吸入することで、鼻腔から入った香りの分子も、気管、肺へと通り、血液に吸収されます。
ふだん、芳香浴をすることで、私たちは少量の精油にくり返し皮膚をさらすことになりますが、これは皮膚にとってよいばかりでなく、体の免疫系を強化するのにも役立つのです。スキンケア、マッサージ、肌のクレンジングは、いずれもみな、アロマセラピーを利用して私たちが不健康にならないように身を守るのに役に立つやりかたです。
アロマセラピーと予防医学
私たちはいつでも、自分自身や家族の健康にたいする責任を、自分たち自身の手ににぎっています。アロマセラピーと免疫系とは、まさに「予防医学」という総合的な自然療法の重要な手だてなのです。
ティートリー油 1滴
ニアウリ油 1滴
レモン油 1滴
これらの精油を100ミリリットルの水に加えてできあがりです。用いる前によくシェイクして下さい。
ニアウリ油 1滴
透明な蜂蜜 小さじ1ぱい
小さいお皿に精油と蜂蜜を入れて、よくかきまぜます。のどが痛みだした最初の症候があらわれたときに、これを少量ずつ服用して下さい。
ティートリー油 5滴
ラベンダー油 5滴
これらの精油を10ミリリットルのホホバ油に加えます。